精華演劇祭vol.6
路上の一輪
冬の空、空を見上げて、世界に私はひとりぼっちだと、口に出して呟いてみる、暗いアスファルトの舗道で、世界のあまりの静けさに息を詰まらせて。湿った空気がすとんと抜けて、寝転がれば、目線の先に白色灯に照らされたタンポポがきつく蕾を結んでいる。大声で笑ってみよう、ささくれ立った私を、世界を。見放されたものを見て、かき消された声を聞き、ないものにされた匂いを嗅ぎわけ、私達は世界を紡ぐ。大輪の花でなくても良い。私達は小さな花を世界に灯す。歩みは遅くとも、綿毛は運ばれるだろう。私達はか弱く小さなものであるが、決してなくてはならないものである。
NPO法人大阪現代舞台芸術協会 理事長 深津篤史